前回の回答は、
肥前国忠吉(初代五字忠吉)(重要刀剣第60回)でした。
特徴:
初代忠吉は橋本新左衛紋と称し肥前鍋島藩のお抱え工で慶長元年藩命により一門の宗長と共に京の埋忠明寿の紋に入り忠吉に鍛刀を宗長に彫刻を学んだ、同三年に帰国し佐賀城下に住し藩の庇護の元に一門は大いに栄えた、元和10年再度上洛し武蔵大掾を受領し名を忠広と改め、同時に源性から藤原性に変えて寛永9年8月15日に亡くなる。初代忠吉は制作年代によって銘字の書体変遷があり銘文も種々変わるが肥前国忠吉と5字銘に切る五字忠吉銘と肥前国住人忠吉と八字銘に切る住人銘と武蔵大掾忠広銘とおよそ三様に大別される。五字忠吉銘は最も珍重される作品です。この刀は杢目肌に小板目肌を交え地錵が厚く付き地景が細かく入り鍛えが精良でかつ景色に面白みがあり地鉄の特色が良く現れている。
刃中は中直刃を基調として所々小互の目乱れごころや浅いのたれが交わり足、葉などが入り錵が付き細かな砂流がかかり匂口明るく冴えるなど忠広時代に見る帯状の直刃とは異なったやや古色を感じさせる味わいのある直刃を焼いており初代の技量を遺憾なく発揮した出来の優れた作品であります。五字忠吉の傑作を是非御薦めしたい作品であります。
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第430回:今回の鑑定 誰でしょうか? (平成29年3月18日)
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ヒント ※画像をクリックすると拡大します。
この刀工は誰でしょうか。
ヒント
刃長:1尺8寸7分5厘
反り:5分
目釘穴:1個
元幅:2.78センチ
先幅:2.26センチ
重ね:0.69センチ
体配:身幅、重ね尋常な反りの深い切先の延びた体配の優美な作品です。
地鉄:小板目肌に小杢目肌が混じり地錵が厚く付き潤いがあり精良な地金となる。地には明瞭な映りが現れる。
鎬地:小板目肌に杢目が混じり柾が強く入る
刃紋:小錵出来、直刃基調に足、葉が盛んに働き、匂口柔らかく朝霧の煙るごとし帽子丸く返る。刃紋は明るく冴え渡り刃中の働きが横溢で品格があります。
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回答は次回の鑑定会コーナーで発表致します。
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