ご注文番号:04084
脇差:白鞘入り(特別保存刀剣)
銘:薩州住藤原正良
宝暦四年代二月日
三代正良記之
鞘書:薩摩国藤原正良
七字銘及宝暦四年戌二月日記更に三代正良記之と銘文有之
詰まり二代作に三代が代銘したる者也
刃長1尺7寸7分
令和記癸卯弥生 探山観而誌之(花押)
年代元文頃の初代正良は同国出水の地で鍛刀したるにより出水正良と通称され
子の三代正良は鹿児島城下に移り延享・寛延・宝暦頃に活躍し
其子に三代正良・後の伯耆守正幸が輩出せり小板目肌の肌合に大どかな湾心の刃文を焼き沸厚く
荒沸業立ち匂口明るく冴えるなど活気漲りて出来優れ且好資料也
当社では刀工の出来によって最上作、上々作、上作、普通作を記載しております
本作の出来は薩州住藤原正良としては 上々作 にランクされる作品です。
はばき:素銅一重はばき
刃長:53.8cm
反り:1.1cm
元幅:3.11cm
先幅:2.29cm
重ね:0.73cm
時代:江戸時代 宝暦四年(1754年)
体配:身幅広く重ねの厚い、体配の良い脇差。やや延びごころの鋭い雰囲気を醸し出す切先は、同じ薩摩の元平と共に独特の姿である。
地鉄:小板目良く詰み、ねっとりとした肌に粒の大きな荒沸が付く。
刃紋:匂口深い小互の目に二重刃がかった刃紋となる。刃中に芋蔓があらわれる。
帽子:小丸返る。火炎風。
特徴:本作は三代藤原正良による脇指である。二代正良の子として亨保十八年(1733)に生まれ、宮原正近の門で学び、薩摩藩工として活躍した新々刀前期の薩摩を代表する刀工の一人である。「正良」は初銘であり、寛政元年(1789)に伯耆守を受領した際に、銘を「伯耆守朝臣正幸」と改め、正幸として知られる。 志津風相州伝の作風が多く、刃中には「芋蔓」と呼ばれる独特の線があらわれる。 文政二年(1819)に当時としても高齢の八十七歳で没する迄作刀を続けた。刀剣鍛練の著書をしるし、刀工達を教育したことでは、江戸の水心子正秀と共に並び称される。この脇指は弱冠二十二歳の時の作品である。佩裏から物打にかけて、すみごもりがある点、茎に錆の強い部分があるなど、多少の欠点がありますが、薩摩刀の雰囲気を良く伝える特別保存刀剣ですので、お勧めです。
特別保存刀剣
葵美術鑑定書: 全身押し形