前回の回答は、
長幸於摂津国作之でした。
特徴:多々良長幸は通称を四郎兵衛と称し本国は紀州といい紀州より大阪に移住した
河内守康永の門人となり師匠に優る技量の持ち主であります。
年期作は極めて少なく天和、貞亨の作品に少ないが存在する。彼の作品は二様があり
大丁字乱れの華やかな作柄で石堂派本来のお家芸である一文字を狙った作品と他方
腰の開いた互の目乱れを主調に複式風の刃を交え帽子も乱れ込んで
末備前を範をとったと考えられる作品があります。この刀は小板目肌が良く詰んで
地錵が微塵に付き地景が細かに入った精美な鍛え肌に乱れ映りが立ち
匂口が締まって明るく華麗な丁字乱れを焼くなど備前一文字を理想として
作者の狙いが良く伝わる大変優れた壱口であり又丁字乱れの中に複式互の目乱れの刃を交え
帽子も乱れ込んで先が尖って返るなど長幸の特色ある流儀を良く表出しており
見所も豊富な作品であります。長身で身幅が広く大柄で勇健な姿形も特記されるが
その堂々とした姿に負ける事なく壮麗に丁字乱れを焼き上げた事が実に効果的であり
見事に作品の昇華に成功した同工の屈指の名品と言える。
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第442回:今回の鑑定 誰でしょうか?(平成29年6月10日)
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ヒント ※画像をクリックすると拡大します。
ヒント
刃長:79.02 センチ
反り:0.9 センチ
目釘穴:3個
元幅:3.04 センチ
先幅:2.2 センチ
重ね:0.74 センチ
体配:身幅が広く反り浅く長寸のがっしりとした刀で切先が延びた勤王刀と称される当時流行した刀。
地鉄:小板目肌実に良く詰んで地錵が付き綺麗な肌合いとなる。
刃紋:錵出来に匂口の深いのたれ刃に足が入り刃中、砂流、金筋が働き帽子匂口深く丸く返る。
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回答は次回の鑑定会コーナーで発表致します。
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